銘ってなに? ~号と銘の違い ~

何かとわかりづらい日本刀の「銘」について分かりやすく解説します。

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刀鍛冶は古来より、自分の名前や年紀 (制作した日)、在住地、依頼者の名前などを茎(刀の柄に入る部分)に刻むことがありました。
それを「銘」と呼びます。

茎_在銘

銘は、大宝元年(701年)、時の朝廷により制定された大宝律令で入れることを定められたそうです。(ソース:名刀幻想辞典様→とりあえず、日本刀辞典/得能一男氏著に載っているのを見つけました)

銘を入れるメリットはいくつかあります。

①真贋鑑定に役立つ
銘があることによって、その刀が正真(本物)であるかどうかの判定が容易になります。
というのも、無銘の刀を極める(作者を判定する)時、銘が無ければ作風を手がかりに総合して判断することになりますが、実は一口に作風と言っても、作者の年齢によって変わってしまったり、誰かの作風を真似て作る刀工もいたりするので、なかなかぴたりと当てることは難しいのです。

しかし銘があれば、過去の銘ぶりと比べて本人の銘かどうかを、ある程度大きな鑑定の根拠にすることができます(もちろん、偽銘の可能性も考慮します)。

イメージとしては、ブランド品の真偽を見極める時に、ブランドマークを確かめることに似ています。

②刀工の活動時期などを知ることができる
もし銘に年紀が刻んであれば、その刀鍛冶がいつ活動していたかの証明になります。
茎に刻まれた年紀は、信用の怪しい文献に記載された活動時期の何倍もの説得力を持っています。

活動時期がどうしたんだと思う方もいらっしゃるかも知れませんが、例えば三日月宗近が本当に平安時代の刀なのか怪しいという説があった時に、それでは下って鎌倉なのか、それとも上って奈良時代なのか、は大きな違いだとは思いませんか?

それによって、過去の極めが覆ることもあります。
(そういうケースはままあります)

そんな大事な銘ですが、存在しない刀もあります。

茎.JPG
現存している大半の刀はもともと銘がありましたが、前回触れた「磨上」を行った際に一緒に消えてしまい、大磨上無銘となっている刀が多くあるからです。
(「へし切長谷部」「ニッカリ青江」など)※1

元々無銘であるケースもあります。

傾向としては戦国時代以降多く作られた数打ちと呼ばれる大量生産品や、軍刀。他に千住院ブランドなど、刀工そのものよりも刀工集団として有名であった場合に無銘のまま世に出すことがあったようです。

他に、基本的に無銘である刀工として、正宗、貞宗が思いつきますが、その二刀工が銘を刻まない理由は諸説あるので割愛します。

なお、日本刀に触れたばかりの方に紛らわしい点として、号と銘の違いがあります。
例えば「鯰尾藤四郎」や「岡田切」といった名前は「号」という後世つけられたニックネームのような呼び名です。銘のように、茎に刻まれているわけではないので、混同しないようにしましょう。

銘=茎に物理的に刻まれている名前
号=銘とは関係なくついたニックネーム

さて最後に、無銘は無名とは違うの? についてお話しします。
当然のことですが「無名」とは「有名」の対義語で、知名度が低いことを指します。

つまり刀を指す言葉ではなく、一般用語です。例をあげれば亀甲貞宗は無銘ですが、無名ではありません。ユウメイダカラネ

銘には色々な種類がありますが、次回以降に記事を書きます。
銘について気になった方は、早速、大好きなあの子の銘を調べてみましょう!

ここまでお読みいただきありがとうございました。


監修:刀剣座談会

執筆:へび

参考:日本刀の掟と特徴(本阿弥光遜氏著)


※1
えっ、でも長谷部には金色の文字で長谷部国重とか書いてあるじゃん! と思ったあなた、あれは金象嵌銘と呼ばれるもので、後年極めの結果を象嵌したものです。一般に在銘とはみなしません。詳しくは次回。

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